大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2791号 判決

被告人 石井要 外一名

〔抄 録〕

当審において取り調べた証人西村健の供述、浦和家庭裁判所の榎本章に関する回答書及び被告人石井要の検察官に対する供述調書中の供述等を綜合するときは、被告人榎本章は、さきに別件である窃盗罪により浦和家庭裁判所において保護処分に付せられ久里浜特別少年院に収容されているうち自ら進んで、本件事件を担当刑務官に申告したので、大宮警察署員及び浦和家庭裁判所裁判官が相次いで前記少年院に来て取り調べた結果浦和家庭裁判所裁判官は、榎本章は自発的に犯行を申告したこと、前記別件である窃盗事件と併合審理したとしても本件は保護処分に相当するに過ぎないこと及び久里浜少年院における行状成績良好なること等を勘案し昭和三二年二月一四日本件を昭和三二年少第二二九号窃盗未遂保護事件として不処分決定をしたことを認めることができる。勿論該決定はそのまま確定したと認められる。然るところ同被告人は間もなく同年四月二二日満二〇年に達したのであるが、右不処分決定後昭和三二年一〇月二三日横浜地方検察庁横須賀支部検事から強盗事件として起訴され同年一一月三〇日横浜地方裁判所横須賀支部において懲役五年の言渡を受けたことが明らかである。これに対し被告人榎本章は前記のように不処分決定があり、安心して毎日修養生活に励んでいたところ、突然起訴され有罪の判決を受けたのは合点がいかないと主張する。よつてこの点について審究するに、家庭裁判所の裁判官がなす不処分決定は少年法第四六条所定の保護処分とは異り一旦不処分の決定があつたからといつて更に刑事訴追をし刑事処分をすることを許さない性質のものではなく、通例の場合、一旦不処分決定ありたる事件については検察官において起訴し刑事処分を要求するが如き挙に出ずることはないけれども、何等か特別の事由があるとして起訴するに至つた場合その起訴は法律上違法無効の手続であるということはできないと解するを相当とする。それ故本件の榎本章に対する起訴及び原審判決は、法律上の取扱としては適法であると断ぜざるを得ないし訴訟手続の法令違反があるという訳にはゆかない。従つて論旨は理由がない。

(大塚 本田 渡辺辰)

註 本件は量刑不当で破棄

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